2016年11月26日土曜日

みたこともないさかなたち

娘のお気に入りの絵本のひとつが「スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし」(レオ=レオニ作 谷川俊太郎訳)。




<あらすじ>
最初は赤い魚の兄弟たちと一緒に暮らしていたスイミーが、
マグロに襲われて一人(匹)で海をさまよい、いろいろな生き物に出会って元気を取り戻し、
兄弟たちにそっくりな赤い魚たちにであい、大きな魚のふりをして泳ぐことを教え、
マグロを追い出してめでたしめでたし。





スイミーがいろいろな生き物たちにであう中で
「みたこともないさかなたち みえないいとでひっぱられてる……」
という一節があります。

ほかの生き物たちはクラゲだのイソギンチャクだのウナギだの具体的なのに
この「見えない糸でひっぱられてる魚」だけが何の魚かわかりません。
なぜこの魚だけがただの「魚」なのか!疑問です。


まあそこですぐググるわけですが、
具体的な魚を指摘しているページは見つけられず。

ですが小学校の国語の教科書でスイミーを掲載しているものがあるらしく
教員の指導案が掲載されているページに行き当たりました。

小学生の国語、どう教える?「スイミー」を題材に⑦スイミーになってタンテイする

小学生の国語、どう教える?「スイミー」を題材に⑩~読解と暗唱

そうか、見えない糸でひっぱられてる魚たちが「みんなで一緒に大きな魚をふりをして泳ぐ」ことの布石になっていたのかーとまさに小並感を抱きました(気付こうよ)。

個人的にはこのページの魚だけ奇妙に具体的でないというか魚という記号みたいな絵なので、魚釣りのルアーかな(それにしては大きいけど)…なんて思っていたのですが。
重要なのは何の魚かではなくて、なんでこの魚が登場したのか、でした。



それにしても本当に短い文でスイミーの動きや気持ち、生き物たちの様子を伝えていて改めて谷川俊太郎しゅごい…ってなりました。
訳者の言葉として「翻訳にあたっては、原本のもつ視覚的な美しさを損なわなぬことを、まず第一に心がけました。〜中略〜その内容の一部を省略せざるを得ない場合もありました〜後略〜」とあり、その制約があったからこそ研ぎ澄まされた名訳になったのかもなと(再び小並感)



1969年が初版、うちにあるのが2016年6月11日、第113刷!
自分が小さいころ触れたものに再び出会うと、当時の気持ちを思い出したり当時の親の気持ちを想像したりして、子供時代の追体験ができますね。
子育てのご褒美みたいなものだなとありがたく享受しています。

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